古くて新しい

府中市に根差した農園です

東京都府中市を東西に走る崖の道。「はけ」と呼ばれるこの崖線には、古くは湧き水が流れていました。
この清らかな水の恩恵にあずかりながら、うちで農園はおよそ400年前からこの地で農業を営んでいると伝わっています。

戦前においては、はけの下が湧き水を利用してワサビ田となっていました。一方で、はけの上は武蔵野の面影を残す栗林や茶。
さらに農家家屋では養蚕を行っていたことを身内が記憶しています。

しかし戦後は都市化の波に洗われ、田畑は消え、ふるさとの農風景が急激に失われてゆきました。

うちで農園もまた都市化の波を受け、戦後は業態を転換。農業以外の生業を始めました。
以来、畑で行われる「どんど焼き」や稲・麦刈りなどの行事を維持しつつ、専業農家ではなくなったのです。

それから半世紀以上の時が経ち、2017年、農業後継者が2年にわたるトマト農家での研修を終えました。
この年をうちで農園の「第二の創業」と位置づけ、農園も新たなスタートを切ることとなりました。
元々が農家なので全くの0からではありませんが、作業小屋もなく、設備や資金の面では1からのスタートでした。

2019年には先端技術を取り入れたビニールハウスが建ち、トマトの栽培に本格的に着手。
様々な失敗や試行錯誤を重ねつつも、多くのご支援・ご購入のおかげで農園の環境が着実に整ってきております。

スタッフ
トマトの姿
トマトハウス
東京とまと よみがえり
トマトの根っこ
トマトの誘引作業
旧直売所
オクラ
夏みかん
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スタッフ
トマトの姿
トマトハウス
東京とまと よみがえり
トマトの根っこ
トマトの誘引作業
旧直売所
オクラ
夏みかん
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第二の創業にかける思い

農業という生きるための根

私は平成元年に生まれました。平成三十年余りの時代には、グローバル化が大きく進みました。
「これからは英語力」「世界へ羽ばたこう」
そうしたメッセージがテレビや雑誌にあふれ、希望とともにグローバル化は語られてきました。

その一方で、希望のイメージとは裏腹に、平成にはどこか足元が崩れてゆくような「不安」が付きまとっていたのではないでしょうか?

経済の停滞は言うまでもなく、終身雇用も崩れ、人の働き方が岐路に立つことになりました。
都市部では田畑の原風景が消えてゆき、温暖化という環境問題を誰もが肌で感じることとなりました。
家族の形が変わり、共働き家庭が一般的になりました。ひとり親家庭・単身者も増え、孤食もまた普通の光景となりました。
心の病は急増しました。自殺者数もまた年間3万人の大台を超す年が続きました。

今でも鮮明に思い浮かぶ10代・20代を通り過ぎる中で、私にとってはこの足元の崩れが何より重要でした。
自身の生まれた家庭も離婚を経験し、また関わってきた子供や若年者にも、家庭の複雑な問題を抱えていたり、心の不調を経験する者がかなりの人数に登りました。足元の崩れは、嘘偽らぬ日々の実感としてあったからです。

世界に羽ばたく「翼」以前に、まず足元にある、生きてゆくための「根」の部分を再生しなくてはならない。

そう痛感していました。そしてこのような思いをもって過ごしてゆくうち、農業の底力に気付くことになりました。

食べものをつくるという根本の営み、農家や半農という古くて新しい働き方、自然環境を再生するポテンシャル、食育の充実、そして農作業の癒しや健康の効果。
まさに農業は生きてゆくために欠かせない「根」そのものだと思いました。
(そして決して甘いものではないこともすぐに痛感するのですが、、)

まずは本当に美味しいトマトを

この発見ののち、トマトの先進農家をご紹介いただき、2年の研修を経て、自ら農業を始めました。

しかしまずは生産。農業は、生産があってはじめて価値が生まれてくる。
農業の師からのこの教えを守り、まずは生産体制をしっかり固めてより、農業の底力を発揮させる取り組みに本格的に挑みたいと思います。

日々トマトと向き合い、葉や茎はもちろん、根っこまでしっかり観察して何が足りないのか考える。
本を読み、他の農家と情報交換をし、トマトの生命力を高めて農薬を減らす研究を重ねる。
そのような技術の積み上げと同時に、新たなスタッフが集まり、必要な設備や資材が揃ってゆき、今まさにうちで農園は成長期の子供のようにぐんぐんと変化をしています。

まずは食べた人が心からみずみずしく美味しいと感じられ、健康になれるような生命力ある野菜をつくりたい。そしていつしか、そんな野菜を食べることを通じて、人が生きるための「根」の再生に繋がる仕組みをつくりたい。このような思いを込めて、「東京とまと よみがえり」を育てています。

小勝 正太郎(おがつ しょうたろう)
農園長 33歳

2010年 

東京都外国語大学外国語学部 中途退学
自らはグローバルというよりローカル人材だと悟る。
(なのに外国語大学は農園徒歩10分の所にあります)
2014年 

早稲田大学政治経済学部 卒業
地方自治ゼミに所属し、主に児童家庭福祉について学ぶ。
2015~2017年 

東京都清瀬市の先進農家・関ファームにて2年間研修
トマトの栽培技術と農業者としての生き方について教えを受ける。
2017年~ 

うちで農園 第二の創業 農園長
保有資格:産業カウンセラー